第3話:相手の身になる

 「相手の身になって考える」とは、相手の感受性を思いやることだと思っています。例えば、ウサギさんとカメさんとでは、「ちょっと待ってね」の〝ちょっと〟は相当な時間差があるのです。「はやくやってね」の〝はやく〟にもかなりの速度差があります。「ここをキレイにしておいてね」の〝綺麗〟の度合いも違っていることを知っておく必要があるわけです。同じ言葉だから通じ合えるはずなのに意味や感じ方が異なるのでギャップが生まれるのです。『話せば、分かり合える』という有名なセリフがありますが、本当は、「話せば、互いの違いに気がつく」ことが、その第一歩なのではないかと思うのです。